弁護士 小賀坂徹です。
舛添東京都知事の政治資金等をめぐる疑惑が、連日メディアを賑わしている。
ここにきてもともと舛添知事辞任に消極的だった都議会与党である自民党、公明党も舛添知事を見限って、辞任に追い込む構えのようだ。
しかし、自民党、公明党が態度を変えたのは、このまま舛添知事辞任に対して消極的な姿勢を貫くと参議院選挙に響くという理由であり、
決して舛添知事の様々な疑惑が理由となっているものではない。
今度の参議院選挙は、本当に重大な意味を持つ選挙であり、
形だけ舛添知事辞任に動いたというような理由で、投票行動が左右されるようなことがあってはならない。
今回の参議院選挙の結果、与党及びおおさか維新などの改憲政党が3分の2を占めるようになれば、
安部首相が公言しているとおり、憲法改定に踏み込むことは間違いない。
安部首相あるいは自民党は、今回の選挙公約をみても、
憲法のどこをどう変えるとはいっていない(これもひどい話で、こんなことで万が一3分の2を占めても改憲についての国民の信を得たなどとは絶対にいえないはずだ)が、
最終的に9条を変えようとしていることは明らかだ。
だから与党に3分の2の議席を与えてはならない、このことが最低限のハードルとなる。
しかし、それでは不十分だ。
昨年9月に強行採決された安保関連法は、憲法9条に明確に反する違憲立法であるとともに、
立憲主義つまり憲法そのものを破壊するものであり、速やかに廃止しなければならない。
しかし、安保関連法を廃止するためには、参議院だけでなく衆議院でも廃止を求める野党が過半数の議席を獲得しなければならない。
だから参議院選挙の結果だけで、直ちに安保関連法を廃止させることはできないが、
しかし、この法律を使わせないように追い込むことは可能だ。
安保関連法は、今年の3月29日が施行日となっているから、
政府がその気になりさえすれば、いつでもこの法律を使うことができる。
現在、南スーダンのPKOに自衛隊の部隊が派遣されているが、
この部隊に「駆けつけ警護」等の安保関連法で新設された新たな、そして極めて危険な任務を課すことも可能だった。
しかし、政府与党は安保関連法施行後も、自衛隊にこうした新たな任務を課していない。
表向きは訓練が間に合わないとのことだが、これは明らかに口実で、
今度の参議院選挙前に再び世論を刺激したくないというのが本音だろう。
その意味で、前回のブログでも書いた安保関連法の廃止を求める運動は、
安保関連法の発動をさせない、使わせないという「現実の力」を持っているのだ。
今回の参議院選挙の本質的な争点はここにある。
つまり政府与党に、安保関連法を現実に使わせる「力」を与えるのかどうかということだ。
集団的自衛権の行使、「後方支援」という名の武力行使と一体の兵たん活動、
駆けつけ警護等のPKOの新たな任務等々のような戦争へ荷担する権限を政府与党に与えるのか、
これまで通りそれを使わせないようにするのか、ということである。
参議院選挙で与党が過半数を上回れば、実際に安保関連法を使う力を与えることになるだろう。
それだけは何としても阻止しなければならない。
戦後70年以上続いてきた平和を壊すことを許してはならないからだ。
この意味において、今回の参議院選挙はこの国の未来を決することになる重大な意味をもっている。
主権者である私たちは、このことを本当に真剣に考え抜いて投票をしなければならない。
今回初めて18歳以上に選挙権が与えられるが、そうした若者も含めてとにかくみんなで選挙に行こう。
そこで、この国の未来、そして平和を考えて投票しよう。
今回の参議院選挙を歴史的意義のあるものにしていこう。