家事事件手続法と私のひとこと(合意管轄)

弁護士 大野美樹です。

 

縁あって、静岡家庭裁判所某支部で家事調停をすることになった。

 私は、地方出張が好きであるから、何ら苦にはならないが、依頼者には経済的な負担がかかってしまう。

私は約半年静岡に通ったが、結局調停は不調になり訴訟に移行した。

 

 訴訟になると、相手方に東京の弁護士がついた。

「よし、それじゃ、合意管轄で横浜か東京にしてもらおう!」とはりきったが…、

そう、人事訴訟法では合意管轄は認められていないのであった(注1)。

 

2013年1月1日家事事件手続法が施行されて、家事事件の手続が大きく変わった。

(細かい説明は退屈であろうから省略する。)

 家事「調停」事件の管轄については、従前通り、相手方の住所地に加えて、

当事者の合意による管轄が認められているが(法245条1項)、

家事事件手続法では、別表第2に記載された家事「審判」事件についても、

当事者の手続の便宜の観点から、合意管轄が認められることになった(法66条1項)。

 しかし、家事事件手続法が施行されても、人事訴訟法は変わらないので、注意が必要である。

 もうひっかからないゾ。

 

(注1)人事に関する訴えは、

当事者が普通裁判籍を有する地を管轄する家庭裁判所の管轄に専属するので(人事訴訟法4条1項)、

双方が異なる裁判所に提訴した場合、結果的には早い者勝ちということになる。

 

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